写真を撮りながら・・・レンズで見る形と色彩

ガソリン・蒸気エンジン博物館
アメリカ合衆国カリフォルニア州ビスタ市

( 次ページ: マカオ夜景  )
(  サンディエゴ伝道所 :前ページ )
(  インデックス・ページ  )
 

大きな町に住んでいると、時としてアメリカは農業大国だという事実を忘れてしまう。 それほど全てが便利で、快適な環境で好ましい製品を買い好きな食べ物を食べられるが、その多くがいろいろな国からの輸入品だからだ。アメリカの農業は、広大な農地で機械力をフルに活用する合理的な方式だから、昔から多く動力つき農業機械が開発されてきた。 サンディエゴのダウンタウンから60マイルほども北に行ったビスタ市に、こんな歴史的な農業機械、特に蒸気やガソリンエンジンを動力に使った農業機械が展示された場所がある。「Antique Gas & Steam Engine Museum」がそれだ。 55エーカーの土地に、1849年から1949年まで2万点にも上るコレクションがあると説明書に書いてあるが、特に、蒸気トラクターのコレクションは一見の価値がある。


 

広大な敷地の展示物の一部

55エーカーもの土地はサンディエゴ郡政府に所属するが、この広大な土地いっぱいに展示物がある。その多くは野ざらしだから、周りと違うその雰囲気に圧倒される。 展示や修理などそのほとんどがボランティアーにより運営されていて、一挙には手が回りかねるのだろう。取り外した大型タイヤや部品などがそのままかまわず置いてあるから、お世辞にもスマートな展示とは言い難い。 しかし、蒸気トラクターの展示は圧巻だ。

蒸気駆動の農業用トラクター

19世紀の後半から20世紀の初期にかけて、ガソリンエンジンが普及するまで、蒸気エンジン・トラクターはアメリカ農業の牽引力だった。この写真のエンジンは、ラッセル社(Russell & Co.)の蒸気駆動トラクターだ。 基本的構造は、ボイラーの上に蒸気ピストンを固定し、はずみ車を廻しながら動力をギヤを介して大きな動輪に伝え、重い鋤や農機具を牽引する。このまま鉄路を走らせたら、いわゆる蒸気機関車そのものだ。

 

蒸気で駆動されるピストン

ミネアポリス脱穀機会社(Minneapolis Threshing machine Co.)は、鋤を牽引する蒸気駆動トラクターで重要な位置を占める会社だった。 この写真は、蒸気で駆動されるピストン部の拡大だ。歴史的には6、7馬力の小型から100馬力近くの大型まで、各種サイズのエンジンが製造されている。 燃料は主として薪や石炭、中には麦わらなども使われることがあったらしい。日本でも、北海道の大農場などでは導入されたと聞く。

火を焚き蒸気を発生させるボイラー

後にルームリー社(M. Rumely Co.)に買収されアドバンス・ルームリー社(Advance-Rumely)となったアドバンス脱穀機会社(Advance Thresher Co.)も鋤を牽引する蒸気トラクターを製造した。 このように、多くの初期の会社は「脱穀機会社」を標榜しているから、脱穀機を廻すエンジンから出発しそれが自走型になり、鋤や農機具といった重量物を牽引するいわゆる「トラクター」に発展したのだろう。

修理中の蒸気駆動巨大トラクター

中には動輪の直径が2m以上もある、巨大な蒸気駆動トラクターもあった。時に畑地の柔らかい所にはまって、動けなくなることもあったようだ。

小型トラクターのユニークな動輪

柔らかな畑地で使われる小型トラクターには、滑らないように工夫された動輪も使われた。

フォードV8トラック

昔は毎日走り回ったであろう強力なガソリンエンジンを積んだフォードのV8トラックも、今はこの地に静かに停まったままだ。

古いトラックのヘッドライト

いかにも農地で活躍したと見えるこの古いトラックには、藪や小枝に打たれて割れないよう、ヘッドライトを守る金棒が付いていた。 今はクモの安全な住処だ。ヘッドライトのすぐ下に、小さくなって隠れているのが見える。

ガソリン・エンジンのトラクター

精悍なスタイルの、ガソリンエンジンを積んだトラクターがあった。

ガソリン・エンジンのブルドーザー

キャタピラーを付けガソリンエンジンを積んだ、インターナショナル・ハーベスター社(International Harvester Company)製のブルドーザー。

インターナショナル・ハーベスター社製トラック

ガソリンエンジン駆動の農機具で有名なインターナショナル・ハーベスター社は、ガソリンエンジンを積んだトラックも造った。

修理のためガレージ入りのトラック

木材を車体枠の一部に使った、大型トラックもあった。

牽引農機具

時々見るが使い道が良く飲み込めない農機具。干し草作りの作業用かも知れない。

風車とバラとトラクター

古くさびついた鉄製のトラクターも、バラの傍らで風車と共演する。

 
( 次ページ: マカオ夜景  )
(  サンディエゴ伝道所 :前ページ )
(  インデックス・ページ  )
 

コメントは「ガソリン・蒸気エンジン博物館」と題し、gdolboysdg@aol.com までメール下さい。
© : 本ページの全ての写真や文章、その他の内容の著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。)

Ver.021608